さあ、10月が始まりました。
ふと空を見ると、雲が高くて、信号を待ってる間でも、秋を感じるひとときになっています。
10月といえば、あれですよ。
そうです、とうとう消費税10%が始まりました。
システム障害が一部であったようですが、意外とスムーズな滑り出しな印象です。ただ、今回「軽減税率」が導入され、その導入に伴う混乱は続きそうです。
軽減税率が適用され、税率8%のものに「飲食料品」があります。
イートインでの利用の場合は、外食と同様の扱いになるため、10%となります。
スーパーのレジの周辺に、軽減税率に関する注意喚起の張り紙がが増えていました。きっとまだまだ、レジの張り紙は増えるのでしょう。
消費税10%に伴う、商い現場の話
ちょっと前に知人との話の中で、『消費税10%になったら、「廃業の二文字を考えざるを得ない」という選択肢を想定してる中小企業がいる』という話を
聞いて、少しびっくりしました。
中小企業の中でも、宿泊・飲食業を含むサービス業では、深刻に影響があると察知していたのです。私個人としては、そういうものなのかな、と思う程度でした。
週末から下記のような記事がネットで流れててきました。こういうことなのかと思うと同時に、勝手に悔しい気持ちになりました。
10月1日の消費税引き上げを前に、軽減税率への対応が難しいとして廃業を決めた自営業者も出ている。
創業95年を超える大阪府内の老舗酒店は、得意先から100周年まで続けるよう励まされたものの、
多額の設備改修費の負担に耐えきれず、9月30日に店をたたむ。
毎日新聞web版 2019年9月29日更新 一部引用
次の記事も、事業承継をしてきた、現在4代目の商店の話でした。
消費増税を翌日に控えた30日、長い歴史に幕を下ろす家族経営の店がある。
常連客に支えられてきた小さな店にとって、軽減税率などへの対応も含め、増税のコストはあまりに重かった。東京都目黒区で約100年続く酒屋「ますかわや本店」も30日に閉店する。店主の土橋彰さん(66)は4代目。
16年前にフランチャイズ傘下に入りながらも、地元の人とのつながりを大切に商売を続けてきた。
年齢的に「あと2、3年」とは思ってはいた。閉店に踏み切ったのは、軽減税率対応のレジの導入に費用がかかり過ぎるからだ。在庫管理などをするパソコンの交換も必要になる。業者の見積もりでは、設備を一新すると、国の補助があっても300万円ほどかかることが判明した。リースにしても、6年間で約450万円かかる。
「仕組みが複雑で、2014年の増税時とは全然違う。あと2、3年なのに……」と妻博子さん(60)は声を落とす。
閉店間際も地域のなじみの家を、1日30軒ほど回り、お酒やお茶を配達した。
「今までありがとうございます」とメッセージの添えられた花束も届いた。
「常連さんを裏切るような形になってしまって申し訳ない」と話していた彰さんは「たまらないよな。普通は売れ残るけど、完売。愛されていたんだね」としんみりした。
朝日新聞デジタル 2019年9月30日 一部引用
お客様に愛されていた商店が、どちらも、増税に対しての設備改修費がネックとなって、増税前の9月末で廃業したというニュースでした。
のしかかる設備投資
軽減税率の対応となれば、より複雑になる制度に対応したレジであったり、システムやパソコン刷新といった設備投資には、お金がかかります。
補助金の活用を検討しても、歯が立たない状況。普段から、お客様のために少しでも喜んでもらいたい、そして、お客様からの「ありがとう」。
それがあるから仕事は続けられるのだと思います。
この記事で気になったのが、補助金の活用は検討した、とありますから、税理士さんや商工会議所などのどこかに相談されたのだと思いました。ただ、あまりにも等身大のビジネス規模に対して、設備投資がかかりすぎるというケースで、皆、途方に暮れてしまった。その結果、「仕方がないね、廃業は」という選択肢になったのでしょうか。個人的に腑に落ちません。
制度が「商い」を潰してく
制度が「商い」を潰してく。苦労して商いをしていても、理不尽なルール変更やそれに対応するにはルール対応の機材を導入しなければならない。
便利になるには、コストがかかる・・・。このプロセスの中に、見落とされていること、そして、工夫の余地はなかったのかと思ってしまいました。