2021年コロナ禍を乗り越えていく

2020年は、どの業種の企業にとっても、新型コロナの影響があったかと思います。

私の事業承継においても、例外ではなく、厳しい一年になりました。
皆さんは、いいかがでしたか。
私は、計画していたことの7割が変更を余儀なくされました。
入念に準備を重ねてきていただけに悔やまれます。

そんな失意の中、緊急借入への国の対応や持続化給付金など、
今までになく国のサポートが充実していたと感じた1年でした。
もちろん、従業員などの休業手当など、既存の仕組みを流用しようとしすぎて、
スムーズにいっていないものもあります。
そして、まだコロナ禍は絶賛継続中であります。

リーマンショックによる不況のときを考えると、
今回のような中小企業が生き残るために選択できる
公的なサポートは少なかったと記憶しています。

ほぼこの1年、忙殺されてコンテンツをアップできなかったのですが、
事業承継のお話も、続けてお知らせしたいと思いますし、
コロナにまつわる資金調達のお話や補助金などのお話もアップしていきたいと思います。

コロナ禍でM&Aは増えているという数字もあります。
経営者が後悔をしないM&A、大切なことですよね。

セミナーも少しずつ、再開していきたいと思います。
皆さんの事業承継や経営戦略にお役に立てるお話、
できる限りわかりやすくお伝えできればと思います。

消費税10%

消費税10%が始まりました

さあ、10月が始まりました。
ふと空を見ると、雲が高くて、信号を待ってる間でも、秋を感じるひとときになっています。

10月といえば、あれですよ。
そうです、とうとう消費税10%が始まりました。
システム障害が一部であったようですが、意外とスムーズな滑り出しな印象です。ただ、今回「軽減税率」が導入され、その導入に伴う混乱は続きそうです。

軽減税率が適用され、税率8%のものに「飲食料品」があります。
イートインでの利用の場合は、外食と同様の扱いになるため、10%となります。
スーパーのレジの周辺に、軽減税率に関する注意喚起の張り紙がが増えていました。きっとまだまだ、レジの張り紙は増えるのでしょう。

まんじゅう
「テイクアウトにします」 そう言うと税率8%!

消費税10%に伴う、商い現場の話

ちょっと前に知人との話の中で、『消費税10%になったら、「廃業の二文字を考えざるを得ない」という選択肢を想定してる中小企業がいる』という話を
聞いて、少しびっくりしました。
中小企業の中でも、宿泊・飲食業を含むサービス業では、深刻に影響があると察知していたのです。私個人としては、そういうものなのかな、と思う程度でした。

週末から下記のような記事がネットで流れててきました。こういうことなのかと思うと同時に、勝手に悔しい気持ちになりました。

10月1日の消費税引き上げを前に、軽減税率への対応が難しいとして廃業を決めた自営業者も出ている。
創業95年を超える大阪府内の老舗酒店は、得意先から100周年まで続けるよう励まされたものの、
多額の設備改修費の負担に耐えきれず、9月30日に店をたたむ。

毎日新聞web版 2019年9月29日更新 一部引用

次の記事も、事業承継をしてきた、現在4代目の商店の話でした。

 消費増税を翌日に控えた30日、長い歴史に幕を下ろす家族経営の店がある。
常連客に支えられてきた小さな店にとって、軽減税率などへの対応も含め、増税のコストはあまりに重かった。東京都目黒区で約100年続く酒屋「ますかわや本店」も30日に閉店する。店主の土橋彰さん(66)は4代目。
16年前にフランチャイズ傘下に入りながらも、地元の人とのつながりを大切に商売を続けてきた。
 年齢的に「あと2、3年」とは思ってはいた。閉店に踏み切ったのは、軽減税率対応のレジの導入に費用がかかり過ぎるからだ。在庫管理などをするパソコンの交換も必要になる。業者の見積もりでは、設備を一新すると、国の補助があっても300万円ほどかかることが判明した。リースにしても、6年間で約450万円かかる。
「仕組みが複雑で、2014年の増税時とは全然違う。あと2、3年なのに……」と妻博子さん(60)は声を落とす。
 閉店間際も地域のなじみの家を、1日30軒ほど回り、お酒やお茶を配達した。
「今までありがとうございます」とメッセージの添えられた花束も届いた。
「常連さんを裏切るような形になってしまって申し訳ない」と話していた彰さんは「たまらないよな。普通は売れ残るけど、完売。愛されていたんだね」としんみりした。

朝日新聞デジタル 2019年9月30日 一部引用

お客様に愛されていた商店が、どちらも、増税に対しての設備改修費がネックとなって、増税前の9月末で廃業したというニュースでした。

のしかかる設備投資

軽減税率の対応となれば、より複雑になる制度に対応したレジであったり、システムやパソコン刷新といった設備投資には、お金がかかります。
補助金の活用を検討しても、歯が立たない状況。普段から、お客様のために少しでも喜んでもらいたい、そして、お客様からの「ありがとう」。
それがあるから仕事は続けられるのだと思います。

この記事で気になったのが、補助金の活用は検討した、とありますから、税理士さんや商工会議所などのどこかに相談されたのだと思いました。ただ、あまりにも等身大のビジネス規模に対して、設備投資がかかりすぎるというケースで、皆、途方に暮れてしまった。その結果、「仕方がないね、廃業は」という選択肢になったのでしょうか。個人的に腑に落ちません。

制度が「商い」を潰してく

制度が「商い」を潰してく。苦労して商いをしていても、理不尽なルール変更やそれに対応するにはルール対応の機材を導入しなければならない。
便利になるには、コストがかかる・・・。このプロセスの中に、見落とされていること、そして、工夫の余地はなかったのかと思ってしまいました。

サラリーマンと事業承継

サラリーマンと事業承継

たいていの中小企業の社長は、子どもたちがより就職に有利な高学歴を手に入れられることを望み、大企業のような優良企業に就職させたいと思うという話。昭和の時代によく聞きました。
21世紀に入ると、企業の面接に親が同伴するという極端なケースもあるうようです。そのような独特な親の励ましを受けるケースもあるようですが、手塩にかけて育てた子どもたちは、それぞれ就職をしていきます。

しかし、最近のサラリーマンをめぐって、労働環境などに変化が起きています。
副業をOKにする会社。「働き方改革」というちょっとポジティブなキーワード。イノベーションによる効率化などなど・・・。
これらは、一見、サラリーマンの労働環境も「規制緩和」されるような印象かもしれません。
でも、これらの言葉を聞いて、ふと思います。働き盛りのサラリーマンは受難の時代に入るのかもしれないと。その兆しだとしたら、どうでしょう。

社長「皆聞いてくれ!会社もいろいろ考えたけど、サラリーマンとしての収入はこれ以上保障してあげられないから、副業してもいいよ」とか
サラリーマン「働き方改革のおかげで、今まで残業代で確保していた収入が見込めなくなったから、そろそろ転職でもするかな」とか
社長「当社もAIなるものを導入したから、省人力化を進める準備をしないと… 」とか

ここで挙げたセリフは、今はまだ現実味はないかもしれません。
でも、近いうちに押し寄せる可能性の高い現実。

このような状況をあえて書いたのは、社長であるあなたのお子さんが「安定のサラリーマン」をしているうちに、一度、あなたの仕事の棚卸しを家族でしてみるとよいかと思ったからです。
サラリーマンが中小企業を買収する時代。ならば、社長のあなたが、身近なサラリーマンであるお子さんに率直な話をすることで、あなたの抱えている悩みや課題を違った視点での示唆を見い出せることがあるかもしれません。また、お子さんは、一生、今の企業で働く時代ではなくなっていると微かに気づいて、気づいてしまった自分に、戸惑っているかもしれません。

これも、ちょっとしたタイミングです。逃すのはもったいない。
例えば、1年前だったら、お互い話にもならないという状況だったのに、今年に入ってから話したら、「実は、一度事業承継の話をしてみたいと思っていた」という返事が返ってくる可能性があるのです。この流れは、親族での事業承継を改めて考えるきっかけになると思うのです。親族間は、単なる事業承継だけではなく、相続の話も一緒に計画的に進めることができます。

実際、親族外での事業承継の説明会では、事業承継と相続という入り組んだ問題を考えるためのヒントは、なかなか見い出せません。
まず、親族で方向性を出すことが大切です。何のために事業承継をするのかを考える時間なのです。そこがブレない核を持てれば、専門家に相談した時に、盲目的に専門家の話に傾倒するのではなく、自分に必要な専門家を見つけていくという自主的な動きに変わっていきます。決して簡単ではありませんが。
あなたの事業承継は、国のためですか?あなたのためですか?